10月24日の日本経済新聞の「マネーのまなび」に、こんな記事が載っていました。
住宅ローン、「超長期」にリスク。
返済期間が35年を超える住宅ローンを選ぶ人が増えている。毎月の返済は軽くなるけれど、金利が上がったときに払う利息は大きく増える。そんな内容です。
読みながら、私は自分が昔借りていた2つのお金のことを思い出していました。住宅ローンと、奨学金です。
どちらも、もう返し終えています。でも、もし今の金利で借りていたら、利息はいくらになっていたのか。気になって、計算し直してみました。
新聞の記事の要点
記事の要点は、次の4つでした。
- 返済期間が35年を超える住宅ローンを選ぶ人の割合が、上がっている(住宅ローンの比較サービス「モゲチェック」の利用者の調査)
- 返済期間を長くすると、毎月の返済は軽くなる。その一方で、金利が上がったときに増える利息の合計は、35年返済より大きくなる
- 借りてしばらくは借金の残りが減りにくく、家を売っても借金が残る心配もある。金融庁も注意して見ている
- 対策は、借りる額を抑える、毎月の返済が軽いぶん貯めておく、繰り上げ返済は余裕のあるお金で、など
記事の中の試算は紙面でご確認ください。この記事では、私が自分で計算した数字を使います。
私が借りていた2つのお金
| 住宅ローン | 奨学金 | |
|---|---|---|
| 借りた時期 | 2008年ごろ | 社会人になってから、30代半ばで学び直したとき |
| 借りた額 | 約920万円 | 146万4,000円(日本学生支援機構の第二種=利子つき) |
| 金利 | 固定(何%だったかは覚えていません) | 固定 |
| 返済の予定 | 15年 | 2011年10月から毎月 |
| 返し終えた月 | 2020年8月 | 2020年8月 |
正直に言うと、借りていたころ、利息のことはほとんど気にしていませんでした。金利が低い時代だったからです。
同じ月に、2つとも返し終えた
2017年ごろ、43歳のころから、家計を見直しました。支出を削り、予算を立て直しました。
少しずつ、月々の家計に余裕ができてきました。たまったお金は、全部、繰り上げ返済に回しました。
そして2020年8月。住宅ローンの残りと奨学金を、同じ月に返し終えました。
借金も、貯金も、いったんゼロになりました。(NISAなどの投資には、手をつけていません)
そのときの気持ちは、今でも覚えています。
スッキリしました。空がこんなに青く、高いものだったのかと、あらためて気づいたような気分でした。
2つの返済がなくなって、貯金はいったんなくなりました。それでも、そこから先は、資産のたまり方のスピードのギアが一段上がったように感じました。
その後、この家は取り壊して駐車場にし、私たちは賃貸に移りました。
当時の金利と、今の金利
奨学金:同じ額を、今の金利で借りたら
奨学金(第二種)の金利は、借り始めたときではなく、借り終わった月に決まります。
日本学生支援機構(JASSO)の表では、2011年3月に借り終わった人の固定の金利は1.41%でした。それが今は、2026年7月に借り終わった人から、上限の3.000%に届いています。
JASSOが出している返還の例に、私の借りた額に近いものがあります。総額144万円を13年で返す場合です。
| 金利 | 毎月の返済 | 返す総額 | うち利子 |
|---|---|---|---|
| 年0.5% | 9,557円 | 1,491,061円 | 約5万円 |
| 年1% | 9,892円 | 1,543,214円 | 約10万円 |
| 年2% | 10,580円 | 1,650,545円 | 約21万円 |
| 年3% | 11,293円 | 1,761,917円 | 約32万円 |
(JASSO「返還例(大学)」第二種・貸与総額144万円・156回)
毎月の差は1,700円ほどです。でも、13年分を足すと、利子は約5万円から約32万円まで開きます。
私が借りていたころは、この差を気にする必要がありませんでした。今、借りる人はそうはいきません。奨学金の金利のくわしい動きは、「奨学金にも「金利ある世界」が来た」にまとめています。
もう1つ、今も返している人に知ってほしいことがあります。金利を「見直し」で選んだ人は、およそ5年ごとに金利が変わります。JASSOの表では、2011年3月に借り終えて「見直し」を選んだ人の金利は、0.60%から始まり、0.10%、0.002%と下がってきましたが、2026年3月28日からは1.200%になっています。
住宅ローン:920万円・15年で、金利が1%違うと
私の住宅ローンの金利は覚えていないので、920万円を15年で返す場合を、金利を変えて計算してみました(元利均等・固定金利・ボーナス払いなし・概算)。
| 金利 | 毎月の返済 | 15年間の利息の合計 |
|---|---|---|
| 年1% | 約5万5,100円 | 約71万円 |
| 年2% | 約5万9,200円 | 約146万円 |
| 年3% | 約6万3,500円 | 約224万円 |
金利が1%違うと、15年で利息は約75万〜78万円違います。
毎月にすると4,000円ほどの差です。見過ごしやすい数字ですが、15年分を足すと、大きな金額になります。
50年返済は、なぜ金利上昇に弱いのか
新聞の記事のテーマに戻ります。返済期間を長くすると、何が起きるのか。4,000万円を借りる場合で計算してみました(元利均等・固定金利・概算)。
| 35年返済 | 50年返済 | |
|---|---|---|
| 年1%の毎月の返済 | 約11万2,900円 | 約8万4,700円 |
| 年1%の利息の合計 | 約742万円 | 約1,085万円 |
| 年2%の毎月の返済 | 約13万2,500円 | 約10万5,500円 |
| 年2%の利息の合計 | 約1,565万円 | 約2,331万円 |
| 10年後の借金の残り(年1%) | 約2,996万円 | 約3,351万円 |
ここから分かることは3つです。
- 毎月の返済は、50年の方が約2万8,000円軽い(年1%の場合)
- でも、利息の合計は50年の方が重い。しかも、金利が1%から2%に上がると、35年では約823万円の増加なのに、50年では約1,246万円も増える
- 借金の残りが減りにくい。10年返しても、50年返済ではまだ3,351万円残る。途中で売ったり住み替えたりするとき、家の値段より借金が多い、ということが起きやすくなる
返済期間が長いほど、金利の変化を受ける時間も長くなります。50年返済は、毎月が軽いぶん、金利上昇という波を長くかぶる借り方だと言えます。
※実際の住宅ローンは、変動金利かどうか、金利が変わったときの返済額のルールなどで、計算が変わります。正確な額は、金融機関の試算で確かめてください。
返し終えた私が、いま考えること
私は、金利が低い時代に借りて、低いうちに返し終えました。運がよかった面もあります。そのうえで、今これから借りる人、返している人と一緒に考えたいことを書きます。
1. 金利より先に、借りる額を見る
上の表のとおり、利息は、借りた額が大きいほど、金利が高いほど、年数が長いほどふくらみます。金利は自分では決められませんが、借りる額は自分で決められます。
2. 毎月が軽いぶんは、使わずにためる
長い返済期間を選ぶなら、毎月の返済が軽くなったぶんを生活費に溶かさない。新聞の記事でも、対策として挙げられていました。
3. 繰り上げ返済は、手元のお金とのバランスで
私は、たまったお金を全部、繰り上げ返済に回しました。気持ちは晴れましたが、そのとき貯金はいったんゼロになりました。
新聞の記事は、繰り上げ返済は余裕のあるお金で、としています。病気や仕事の変化に備えるお金を残しておくかどうかは、人によって判断が分かれるところです。私がいま、生活防衛のための現金をどう持っているかは「50代の現金保有率の目安」に、繰り上げ返済と投資の考え方は「50代の住宅ローン早期完済の判断」に書いています。
4. 奨学金は「借り終わった月」に金利が決まる
これから進学する家庭は、借りる額だけでなく、卒業する時期の金利も気にかけておくとよいと思います。固定と見直しのどちらがよいかは、先の金利しだいで、誰にも分かりません。
まとめ
- 返済期間が35年を超える住宅ローンが増えている。50年返済は毎月が軽いが、利息の合計は重く、金利上昇に弱い
- 4,000万円・年1%なら、利息の合計は35年で約742万円、50年で約1,085万円。年2%になると、それぞれ約1,565万円・約2,331万円
- 奨学金の固定金利は、2011年3月の1.41%から、今は上限の3.000%へ。144万円・13年なら、利子は約5万円(0.5%)から約32万円(3%)まで開く
- 私は2020年8月、奨学金と住宅ローンを同じ月に完済した。借金も貯金もゼロになり、空が青く、高く見えた
- 借りる額を抑える、軽いぶんをためる、繰り上げ返済は手元のお金とのバランスで
金利が低い時代の借金の常識は、今の金利では通じないことがあります。今日の一歩として、借りているお金の「金利」と「残りの年数」を、一度書き出してみてください。
出典
- 日本経済新聞「住宅ローン、『超長期』にリスク」2026年10月24日朝刊(マネーのまなび)
- 日本学生支援機構「貸与利率の推移(令和2年度以前)」平成22年度 貸与利率一覧(2011年3月貸与終了:固定方式1.41%・利率見直し方式0.60%、見直し後の利率)
- 日本学生支援機構「返還例(大学)」第二種奨学金(貸与総額144万円・156回)
- 住宅ローンの表は、元利均等返済の式で筆者が計算した概算です
※本記事の情報は2026年10月24日時点のものです。
※本記事は筆者個人の体験と見解に基づくものです。特定の金融商品や借り入れ・返済の方法を勧めるものではありません。 住宅ローンや奨学金の条件は、借りる人や時期によって異なります。最新の情報は、各金融機関・日本学生支援機構の公式サイトでご確認ください。