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お金記事 No.170

50代の債券の考え方|52歳・債券ゼロの私が調べたら「安全資産はどれも物価に負ける」と分かった

📌 この記事でわかること

52歳・株式比率69%・債券ゼロ。安全資産を一度も検討していなかったので、個人向け国債・物価連動国債・外国債券を財務省と金融庁の資料で調べました。現金500万円を移すと年7万円増える。でも市場が織り込む物価上昇率と並べたら、どれも負けていました。

※本記事にはプロモーションを含みます。

自分の株式比率を数えたのは、この夏でした。52歳、資産は約4,900万円。そのうち株式が約3,400万円で、比率にして69%

数えたあとで、もうひとつ気づいたことがあります。

債券が、ゼロでした。

正確に言うと、「検討した結果ゼロにした」のではありません。一度も検討していなかったのです。9年間、積立を続けてきて、買ったのは株式だけでした。

この記事は、その穴を埋めるために調べたことの記録です。結論から言うと、私が予想していたのとは違う答えが出てきました。


まず、制度のほうに理由がありました

「債券を買うなら、まずNISAだろう」と思って調べ始めて、最初につまずきました。

金融庁が公表しているつみたて投資枠の対象商品は、2026年9月18日時点で371本あります。その内訳がこうなっています。

国内 内外 海外
公募投信 株式型 67本 36本 95本
公募投信 資産複合型 5本 154本 3本
ETF 5本 6本

区分が「株式型」と「資産複合型」の2つしかありません。

「債券型」という枠が、そもそも存在しないのです。

つみたて投資枠で債券に触れる方法は、バランスファンド(資産複合型)の中身として持つしかない。債券だけを買いたければ、成長投資枠・iDeCo・課税口座・個人向け国債のどれかになります。

「新NISAはつみたてで世界株」とよく言われますが、あれは誰かの意見である前に、制度がそう作られているということでもありました。


GPIFは、債券を17兆円買っていた

参考になるのは、やはり公的年金の運用です。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の業務概況書によると、2026年3月末時点の運用資産は293.6兆円。2025年度の収益率は**プラス16.47%**でした。

その2025年度に、GPIFが実際に何をしたか。

株式を約15兆円売って、債券を約17兆円買っていました。

同じ年、国内株式はプラス34.62%、国内債券は**マイナス5.11%**です。つまり、いちばん上がったものを売って、いちばん下がったものを買っている。これがリバランスです。

私が驚いたのは、「リバランスをしましょう」と言っているのではなく、実際に15兆円売っていたことでした。

一方の私は、上がった株式をそのまま持ち続けて、下がった債券は1円も持っていませんでした。


現金500万円を移すと、年7万円ちがう

では実際に、いくら違うのか。

私は生活防衛費として500万円を楽天銀行の普通預金に置いています。マネーブリッジ(楽天証券との連携)を設定しているので、金利は**年0.48%**です(2026年9月1日時点、1,000万円までの部分)。

これを個人向け国債に移したらどうなるか。財務省が公表している2026年9月募集分の利率はこうでした。

表面利率 税引後
変動10年(第198回) 1.95% 1.5538575%
固定3年(第196回) 1.96% 1.5618260%
固定5年(第186回) 2.24% 1.7849440%

500万円を1年置いた場合の、税引後の利息で比べます。

税引後の利息
楽天銀行 普通預金(0.48%) 19,100円
個人向け国債 変動10年 77,693円
個人向け国債 固定5年 89,247円

差は、年70,147円。 5年なら約35万円です。

同じ500万円を、同じだけ「動かさずに置いておく」だけで、これだけ違う。しかも個人向け国債は元本割れがなく、1万円から買えて、最低金利0.05%が保証されています。

正直、これを見た時点では「すぐ移すべきだ」と思いました。


ところが、物価と並べたら景色が変わった

ここで、もうひとつの数字を持ってきます。

財務省が毎日更新している**BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率)**というものがあります。物価連動国債の利回りと、同じ残存期間の普通の国債の利回りの差から計算される数字で、市場がこれから先の物価上昇率をどう見ているかを表します。

2026年9月17日時点の数字がこうでした。

10年固定利付国債 2.925%
BEI(10年) 2.089%
10年物価連動債 0.836%

市場は、これから10年の物価上昇を年2.089%と織り込んでいます。

名目の金利2.925%から物価の2.089%を引いた残りが、実質の利回り0.836%。これが「増えたと言える分」です。

では、さっきの選択肢を、この2.089%と並べてみます。

税引後 物価との差
楽天銀行 普通預金 0.382% −1.707ポイント
個人向け国債 変動10年 1.554% −0.535ポイント
個人向け国債 固定5年 1.785% −0.304ポイント

全部、マイナスでした。

いちばん条件の良い固定5年でも、物価には届かない。

つまりこういうことです。

安全資産は、インフレに勝てない。できるのは、負け幅を1.7ポイントから0.3ポイントに縮めることだけ。

「普通預金から国債へ移せば解決する」という話ではありませんでした。負けの大きさを小さくする、という話だったのです。

個人向け国債の「元本割れなし」は、名目の元本の保証であって、買えるものの量の保証ではない。ここを私は取り違えていました。

(念のため補足すると、BEIは10年の数字なので、5年の固定5年と厳密に同じ土俵ではありません。また、これは市場の予想であって、実際にそうなるとは限りません。)


外国債券は「為替を取るか、年2.5%払うか」

「日本の債券がだめなら外国債券は」と思って、iDeCoで選べる商品を見ました。

私はiDeCoを楽天証券で運用しています。海外債券のインデックスファンドとして入っているのが「たわらノーロード先進国債券」でした。そこで、同じ指数に連動する為替ヘッジありのファンドと、成績を並べてみました。

どちらもFTSE世界国債インデックス(除く日本)に連動する、同じ運用会社のファンドです。違いは為替ヘッジの有無だけです。

ヘッジなし ヘッジあり
5年前との比較 +28.26% −23.45%
1年前との比較 +5.45% −3.07%

(いずれも2026年9月18日時点)

同じ債券を持っていて、5年で52ポイントの差。

読み方はこうです。債券そのものは、この5年で下がっていました。 世界的に金利が上がったので、債券の価格が落ちたのです。ヘッジなしが増えて見えるのは、その間に円安が進んだから

つまり「債券で増えた」は、債券の成績ではなく為替の成績でした。

では為替を消せばいいかというと、そのコストがヘッジありの数字に出ています。ヘッジのコストは、おおむね2国間の短期金利の差で決まります。

米国の政策金利 3.75〜4.00%(2026年9月16日決定)
日本の政策金利 1.25%程度(2026年9月引き上げ)
約2.5〜2.75ポイント

年2.5%を超えるコストを払って、為替を消す。 債券の利回りがそれを上回らなければ、手元には何も残りません。

私にとっては、これがいちばん重い話でした。**私の外貨建て資産はすでに約2,200万円、総資産の45%**あります。そこに「安全資産として」ヘッジなしの外国債券を足せば、安全になるどころか、為替の比率がさらに上がる

株式を減らして債券へ、が必ずしも安全側への移動にはならない。そういうことでした。


中途換金は、ちょうど1年分の利息

もうひとつ、実際に動かすうえで大事な点があります。

個人向け国債は、発行から1年経てばいつでも中途換金できます(元本割れはしません)。ただし、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた額が差し引かれます。

固定5年・2.24%で500万円の場合を計算してみます。

  • 1回の利子(税引前)= 500万円 × 2.24% ÷ 2 = 56,000円
  • 差し引かれる額 = 56,000円 × 0.79685 × 2回 = 89,247円

ちょうど1年分の税引後利息と同じ額です。つまり「1年分の利息を返して解約する」形になります。

私が置いている500万円は生活防衛費で、急に必要になりうるお金です。だとすると問いは「全部を国債にするか」ではなく、**「そのうちいくらなら、5年動かさないと決められるか」**になります。

そしてもうひとつ。発行後1年間は、原則として中途換金できません。


それで、どうするのか

まだ決めていません。

ただ、調べる前と後で、問いの形が変わりました。

調べる前は「債券を買うべきか」でした。いまは、こうなっています。

  • 500万円のうち、いくらなら5年動かさないと決められるか
  • 外国債券を足すと、外貨比率は何%になるのか
  • iDeCoの株式100%は、受け取りまで8年のいま、そのままでいいのか

どれも「買うか買わないか」ではなく、比率と期間の問いです。

前回、資産配分を点検したときに「年に1回、全体の比率を見る」と決めました。今回わかったのは、そのときに見るべきものがもう一つあった、ということです。

株式か、現金か。円か、外貨か。そして、動かせるお金か、動かせないお金か。

私は9年間、「何を買うか」ばかり考えてきました。そのあいだ、債券という選択肢があることすら、視界に入れていませんでした。

買わないという結論になっても構わないと思っています。ただ、見ていなかったから持っていなかった、というのだけは、もう繰り返したくありません。


まとめ

  • つみたて投資枠に「債券型」という区分はない(371本が株式型と資産複合型のみ/2026年9月18日時点)
  • GPIFは2025年度に株式を約15兆円売り、債券を約17兆円買っていた
  • 個人向け国債は固定5年で2.24%。500万円なら普通預金との差は年7万円
  • ただしBEI(市場が織り込む物価上昇率)は2.089%。安全資産はどれも実質でマイナス
  • 外国債券はヘッジなしなら為替、ヘッジありなら年2.5%超のコスト
  • 中途換金の差し引きは、ちょうど1年分の利息

安全資産を持つ理由は「増やすため」ではなく、「減り方を決めておくため」なのだと思います。


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本記事は筆者個人の記録であり、特定の金融商品を推奨するものではありません。金利・利回り・基準価額は本文に記載した時点のもので、その後変動します。個人向け国債の利率は毎月の募集ごとに変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

参照した一次資料:金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年9月18日)/財務省「現在募集中の個人向け国債」(令和8年9月9日現在)・「物価連動国債」「ブレーク・イーブン・インフレ率の推移」(2026年9月17日現在)/日本銀行「金融市場調節方針の変更」(2026年9月)/FRB「FOMC Implementation Note」(2026年9月16日)/GPIF「業務概況書」(2026年3月末時点)/アセットマネジメントOne 各ファンド情報(2026年9月18日基準)/楽天銀行「金利一覧」(2026年9月1日時点)

この記事を書いた人

マネーコンパス(52歳・会社員)

43歳・貯金ゼロから資産形成を始め、9年で資産4,900万円・不労所得は月6.6万円に。 新NISA・配当株・固定費削減を、すべて自分の実体験にもとづいて発信しています。

詳しいプロフィールと資産の内訳を見る →

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