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お金記事 No.168

新NISAの積立は円安の一因なのか|財務省データで調べたら、私自身がその中にいた

📌 この記事でわかること

投資信託を通じた海外投資は2024年に10兆円超。新NISA開始で約3倍になりました。財務省・日本銀行の公表データで円安との関係を確かめ、外貨建て資産45%の52歳が自分の立ち位置を検証します。

※本記事にはプロモーションを含みます。

2026年4月30日、政府は1日で6兆2,787億円を使って、ドルを売り、円を買いました。

同じ月、私は12万円を使って、円を売り、ドル建ての投資信託を買っていました。

方向が、まるきり逆です。

金額の桁はまったく違います。それでも私は、自分のやっていることを「円安とは関係のない、個人の資産形成」だと思い込んでいました。

ところが財務省のデータを開いてみたら、私の積立は、統計にきちんと計上されていました。

この記事では、円安と個人の海外投資の関係を、財務省と日本銀行の公表データだけで確かめます。そのうえで、外貨建て資産が総資産の45%を占める私自身が、この構図のどこに立っているのかを書きます。


政府が円を買った日に、私は円を売っていた

まず、為替介入の実績から。財務省が公表している「外国為替平衡操作の実施状況」の数字です。

期間 介入額 売買の別
2026年4月〜6月 11兆7,349億円 米ドル売り・円買い
2026年7月30日〜8月26日 15兆3,993億円

4〜6月の内訳は3日間に集中しています。4月30日に6兆2,787億円、5月4日に7,802億円、5月6日に4兆6,759億円。判明しているだけで、2026年に27兆円以上が円を買うために投じられたことになります。

介入は「円安が進みすぎたとき」に行われます。つまり、これだけのお金を使わなければならないほど、円を売る力のほうが強かったということです。

では、その「円を売る力」は誰なのか。


投資信託を通じて、年に10兆円が外へ出ている

財務省は「対外及び対内証券売買契約等の状況」という統計を毎月出しています。誰が、いくら、海外の証券を買ったり売ったりしたかを、投資家の種類別に分けたものです。

その中に 「投資信託委託会社等」 という区分があります。運用会社のことです。私たちが投資信託を買うと、運用会社がまとめて海外の株を買いに行く。その取引がここに出ます。

つまりこの数字は、個人が投資信託を通じて海外に投資した金額を、かなりの部分で映しています。

新NISAが始まった年に、3倍になった

株式・投資ファンド持分の買い越し額(買った額から売った額を引いたもの)を、暦年で並べます。

買い越し額
2022年 3兆8,968億円
2023年 3兆5,042億円
2024年 10兆0,493億円
2025年 8兆6,312億円
2026年1〜8月 8兆6,064億円

2023年の3.5兆円から、2024年の10.0兆円へ。約2.9倍です。

2024年1月は、新NISAが始まった月でした。

そして2026年は、8か月ですでに8.6兆円。このペースが続けば年間12兆円を超え、過去最高を更新します。ちなみに直近の2026年8月単月は1兆3,458億円でした。

念のため、新NISA前の水準も見ておきます。2016年度から2022年度までの7年間の平均は年2兆8,540億円でした。2024年の10.0兆円は、その3.5倍にあたります。

数字の並べ方を変えてみる

先ほどの介入額と、並べてみます。

  • 政府が円を買った額(2026年・判明分)…… 約27兆円
  • 投資信託経由で外貨に替わった額(2026年のペース)…… 年間約12〜13兆円

もちろん、為替相場を動かす要因はこれだけではありません。貿易収支、金利差、企業の対外投資、海外で稼いだ利益が円に戻らないこと——どれも規模が大きく、投資信託経由の資金はその一部にすぎません。

それでも、**「政府が必死に円を買っている、その反対側に、自分の積立がある」**という事実は変わりません。


私はこの数字の中に入っている

ここからは自分の話です。

私(52歳・会社員)の資産は約4,900万円。その内訳のうち、外貨建ては約2,200万円あります。

資産 金額 通貨
インデックス投信 約1,000万円 ほぼ外貨建て
海外ETF 約1,200万円 外貨建て
日本株 約1,200万円 円建て
駐車場 約1,000万円 円建て
現金 約500万円 円建て

外貨建ての比率は約45%。資産の半分近くが、為替で動きます。

そして毎月、新NISAで10万円、iDeCoで2万円、合わせて12万円を積み立てています。買っているのは全世界株と全米株のインデックスです。つまり毎月12万円、円を売って外貨に替えていることになります。

年に144万円。これが、先ほどの年12兆円の中に入っています

増えたのか、円が安くなっただけか

ここが、自分でも目を背けていたところです。

日本銀行が公表している円/ドル相場(スポット・17時時点・月中平均)を見ます。

時点 円/ドル
2025年4月 142.52
2026年3月 159.80
2026年8月 160.01

2025年4月から2026年8月までで、12.3%の円安です。

いま約2,200万円ある外貨建て資産を、2025年4月のレートで円に直すと、約1,960万円にしかなりません。

差額は約240万円

つまり、中身が1ドルも増えていなかったとしても、円換算の金額は240万円ほど増えている計算になります。

(もちろん、この期間も毎月積み立てているので、「240万円が為替のおかげ」と単純には言えません。あくまで**「いまの2,200万円を1年4か月前のレートで円に直すといくらか」**という概算です。それでも、桁として無視できる額ではありませんでした。)

私はこの数年、資産が増えていくのを見て「積立を続けてきてよかった」と思っていました。その実感の一部は、円が安くなっただけだったわけです。


自分の「外貨比率」を出してみる

この記事を書いていて、いちばん役に立ったのは自分の外貨比率を数字にしたことでした。

やることは単純です。

  1. 証券口座の保有商品一覧を開く
  2. 投資信託・ETF・外国株を「外貨建て」に分類する
  3. 預金・日本株・国内不動産を「円建て」に分類する
  4. 外貨建ての合計 ÷ 総資産 を計算する

私の場合は45%でした。**半分近くが、自分ではどうにもできない為替で動いている。**この一行が出るだけで、ニュースの見え方が変わります。

「オルカン1本でいい」と言われて素直に積み立ててきた人ほど、実は外貨比率が高くなっています。全世界株式といっても、日本株の比率は5%程度です。残りはすべて外貨建てです。

何を買っているかは新NISAで何を買えばいいかにまとめていますが、「何を買うか」を考えるときに「それが何建てか」まで見ている人は、あまり多くないと思います。私もそうでした。

円建てをどれだけ持つかという話は、50代の現金保有率の目安のほうに書いています。私の現金500万円は、インフレでも円安でも目減りする側の資産です。外貨比率を出したあとだと、この500万円の意味も少し違って見えてきました。


それでも、やめる話ではない

ここまで読んで「じゃあ海外投資をやめたほうがいいのか」と思われたかもしれません。

私はそうは思いませんし、やめるつもりもありません。

理由は単純で、一人ひとりにとっては、それが合理的な判断だからです。

日本の株式市場だけに資産を置くことのリスクは、分散という観点から見て決して小さくありません。円だけを持ち続けることも、それ自体がひとつの賭けです。非課税の制度が用意されていて、低コストのインデックスファンドが買えるなら、それを使うのは自然な選択でしょう。

ただ、ここに厄介な構造があります。

一人ひとりが正しく判断した結果を、全部足し合わせると、全体では別の結果が出る。

誰も間違っていないのに、合計すると年12兆円が円から外貨に替わり、それが円安の一因になる。そして円安は、輸入品の値段を通じて、その人自身の生活費に返ってきます。

これは「誰かが悪い」という話ではありません。止めようがない、という話です。

私にできるのは、批判することでも、積立をやめることでもなく、自分が何の一部なのかを知ったうえで続けることだと思っています。

知っていると、少なくとも次の2つが変わります。

  • 資産の増え方を、為替と中身に分けて見るようになる。「増えた」と喜ぶ前に、レートを確認する癖がつきます
  • **円安のニュースを、他人事として聞かなくなる。**値上げの報道を見たときに、自分の口座の含み益とセットで考えるようになります

円がこの先どうなるかは、私にはわかりません。わからないという前提で配分を決めるのが、たぶん唯一まともな態度だと思っています。


まとめ

調べたこと 結果
投資信託経由の海外投資 2023年3.5兆円 → 2024年10.0兆円(新NISA開始で約2.9倍)
2026年のペース 8か月で8.6兆円=年間12兆円超の見込み
為替介入(2026年・判明分) 約27兆円のドル売り円買い
私の外貨建て比率 総資産4,900万円のうち約2,200万円=45%
私の積立 月12万円=年144万円を円から外貨へ
円安の影響(概算) 中身が同じでも円換算で約240万円増える計算

**まずは自分の外貨比率を出してみてください。**5分で終わります。

その一行が出たあとでも同じ配分でいこうと思えるなら、それは知ったうえでの選択です。私は、そこが分かれ目だと思っています。


出典

  • 財務省「対外及び対内証券売買契約等の状況(投資家部門別対外証券投資)」2026年9月8日更新
  • 財務省「外国為替平衡操作の実施状況」2026年4〜6月期/2026年7月30日〜8月26日
  • 日本銀行「主要時系列統計データ表(為替相場・円/ドル スポット17時時点 月中平均)」

※本記事のデータはいずれも2026年9月19日時点で確認したものです。統計は後日改定されることがあります。


※本記事は筆者個人の見解に基づく一般的な解説です。特定の商品・投資行動を推奨するものではありません。 為替相場や市場の先行きについて予測するものではなく、記載した数値は過去の公表データに基づく事実および概算です。 投資は元本を割り込む可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。 税制・制度の詳細は変更となる場合があります。最新情報は金融機関・公的機関でご確認ください。

この記事を書いた人

マネーコンパス(52歳・会社員)

43歳・貯金ゼロから資産形成を始め、9年で資産4,900万円・不労所得は月6.6万円に。 新NISA・配当株・固定費削減を、すべて自分の実体験にもとづいて発信しています。

詳しいプロフィールと資産の内訳を見る →

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