私たちの年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、毎年、運用の成績をすべて公開しています。
2025年度(2025年4月〜2026年3月)の成績は、+16.47%。金額にすると+41兆3,995億円です。
9月にこの年次報告(業務概況書)を読んで、私は自分の資産配分をGPIFの原則で採点しました。結果は、5つのうち2つが不合格でした(くわしくはnoteに書きました)。
今回は、もう一歩さかのぼります。GPIFが市場での運用を始めた2001年度から2025年度までの25年分の数字を、公式のデータで並べてみました。
そこから見えてきたのは、プロにも個人にも当てはまる6つの学びです。43歳から9年間、投資を続けてきた私の実際とも、答え合わせをしてみます。
GPIFの25年を、1枚の表で
まず、25年分の成績です。「1位」と「最下位」は、4つの資産(国内債券・外国債券・国内株式・外国株式)の中で、その年にいちばん良かったもの・悪かったものです。
| 年度 | 全体 | 1位の資産 | 最下位の資産 |
|---|---|---|---|
| 2001 | −1.80% | 外国債券 +6.20% | 国内株式 −17.05% |
| 2002 | −5.36% | 外国債券 +15.23% | 外国株式 −32.23% |
| 2003 | +8.40% | 国内株式 +50.30% | 国内債券 −1.82% |
| 2004 | +3.39% | 外国株式 +15.43% | 国内株式 +1.64% |
| 2005 | +9.88% | 国内株式 +50.14% | 国内債券 −1.40% |
| 2006 | +3.70% | 外国株式 +17.50% | 国内株式 +0.47% |
| 2007 | −4.59% | 国内債券 +3.31% | 国内株式 −27.97% |
| 2008 | −7.57% | 国内債券 +1.35% | 外国株式 −43.21% |
| 2009 | +7.91% | 外国株式 +46.11% | 外国債券 +1.32% |
| 2010 | −0.25% | 外国株式 +2.18% | 国内株式 −9.04% |
| 2011 | +2.32% | 外国債券 +4.77% | 外国株式 +0.49% |
| 2012 | +10.23% | 外国株式 +28.91% | 国内債券 +3.68% |
| 2013 | +8.64% | 外国株式 +32.00% | 国内債券 +0.60% |
| 2014 | +12.27% | 国内株式 +30.48% | 国内債券 +2.76% |
| 2015 | −3.81% | 国内債券 +4.07% | 国内株式 −10.80% |
| 2016 | +5.86% | 国内株式 +14.89% | 外国債券 −3.22% |
| 2017 | +6.90% | 国内株式 +15.66% | 国内債券 +0.80% |
| 2018 | +1.52% | 外国株式 +8.12% | 国内株式 −5.09% |
| 2019 | −5.20% | 外国債券 +3.55% | 外国株式 −13.08% |
| 2020 | +25.15% | 外国株式 +59.42% | 国内債券 −0.68% |
| 2021 | +5.42% | 外国株式 +18.48% | 国内債券 −0.99% |
| 2022 | +1.50% | 国内株式 +5.54% | 国内債券 −1.74% |
| 2023 | +22.67% | 国内株式 +41.41% | 国内債券 −2.00% |
| 2024 | +0.71% | 外国株式 +6.62% | 国内債券 −4.47% |
| 2025 | +16.47% | 国内株式 +34.62% | 国内債券 −5.11% |
(GPIF公表データ。収益率は運用手数料等の控除前。2001〜2019年度の全体は修正総合収益率、2020年度以降は時間加重収益率)
25年をならすと、年率+4.67%。累積の収益は+196兆9,306億円です。2025年度末の運用資産は293兆6,437億円になりました。
学び① 1年の成績で、良い・悪いを決めない
25年のうち、全体がマイナスだった年は7回ありました。いちばん悪かったのは、リーマン・ショックのあった2008年度の−7.57%です。
それでも、25年をならせば年率+4.67%。マイナスの年は「失敗」ではなく、長く続けていれば必ず来るものとして、最初から計算に入れておくものだと分かります。
私の場合
正直に書きます。2020年3月、2022年、2024年8月。私は3回とも「売ろうか」と迷いました。
迷ったのは、いつも特定口座の分でした。iDeCoは、そもそも60歳まで売れません。結果として、私は一度も売っていません。でもそれは意志が強かったからではなく、売れない仕組みに助けられた面が大きいと思っています。
ちなみにGPIFは、2019年度に−5.20%となった翌年、2020年度は+25.15%でした。
学び② いちばん良い資産は、毎年入れ替わる
25年間で、1位になった資産の回数を数えてみました。
| 資産 | 1位になった回数 |
|---|---|
| 外国株式 | 10回 |
| 国内株式 | 8回 |
| 外国債券 | 4回 |
| 国内債券 | 3回 |
株が強いのは確かです。でも、私がいちばん目を引かれたのは別のところでした。
全体がマイナスだった7回のうち6回は、1位が債券でした。株が大きく下がった年に、全体を支えていたのは債券だったのです。来年どの資産が伸びるかは、プロでも当てられません。だからGPIFは、4つの資産に分けて持っています。
私の場合
私の資産(約4,900万円・2026年9月時点)の内訳は、次のとおりです。
| 資産 | 金額 | 割合 |
|---|---|---|
| 株式(インデックス投信・日本株・海外ETF) | 約3,400万円 | 約69% |
| 駐車場 | 約1,000万円 | 約20% |
| 現金 | 約500万円 | 約10% |
| 債券 | 0円 | 0% |
債券はゼロです。株が大きく下がった年に支えてくれる役は、現金(生活防衛費)と駐車場の収入が担っている形です。債券ゼロの私が債券について調べたことは「50代の債券の考え方」に、株が大きく下がったときの試算は「リーマン級の暴落が来たら、私の4,900万円はいくらになるか」に書いています。
学び③ 決めた割合に「戻す」
GPIFは、4つの資産を25%ずつ持つと決めています。2025年度は株が大きく上がった年でしたが、年度末の割合は、国内債券25.37%・外国債券25.00%・国内株式24.31%・外国株式25.32%。ほぼ25%ずつに収まっていました。
上がったものを少し減らし、下がったものを少し足す。いわゆるリバランスです。
私の場合
ここは、正直に不合格です。9年間、一度もリバランスをしていません。9月にnoteでそう書いてから1か月あまり。今も、何も変えていません。
株式の割合が約69%になっているのは、狙った結果ではありません。積立を続け、株価が上がって、結果としてそうなっていただけです。何%から何%の間に収めるか、という自分の「戻すルール」を、まだ決めていない。これが今の私の宿題です。
学び④ コストを低く抑える
GPIFが外部の運用会社に払っている手数料は、2025年度で571億円。運用している額に対して0.02%です。
私の場合
私が積み立てているいちばん大きなファンドは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」です。次が「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」。信託報酬(運用にかかる手数料)は、それぞれ年0.08140%以内・年0.05775%以内です(三菱UFJアセットマネジメントの目論見書)。
GPIFの0.02%にはかないません。それでも、個人が買える中ではかなり低い水準です。手数料は、どんな相場の年にも必ず引かれます。長く持つほど差が開くので、ここは数少ない「自分で確実に決められること」だと思っています。
学び⑤ 金利が上がる時期は、「安全な債券」も値下がりする
25年の表の右の列を見てください。最近は、国内債券が毎年のように最下位です。2023年度−2.00%、2024年度−4.47%、2025年度−5.11%と、3年続けてマイナスでした。
国内の金利が上がると、すでに持っている債券の値段は下がります。その代わり、これから受け取る利息は増えていきます。「債券は損をしない」のではなく、金利が動く時代には、債券も値動きする資産だということです。
私の場合
私は債券を持っていないので、この値下がりの影響は受けていません。ただ、金利が上がる時代の影響は、借りる側にも出ます。私が昔借りていた住宅ローンと奨学金を、今の金利で計算し直した話は「住宅ローン「50年返済」の記事を読んで、昔の借金を今の金利で計算し直した」に書きました。
学び⑥ 利子・配当の積み重ねと、「実質」で考える
GPIFの累積の収益196.9兆円のうち、約3割(61兆3,892億円)は利子・配当の収入でした。値上がりだけでなく、毎年受け取るお金の積み重ねも、大きな力になっています。
もう一つ、GPIFは目標を「賃金の伸びを上回ること」に置いています。増えた金額そのものより、物価や賃金の伸びに負けていないかを見ているのです。賃金の伸びを差し引いた実質の利回りは、2001年度からで年率+4.33%でした。
私の場合
私が日本株と米国株から受け取った配当(税引き後・駐車場の収入は含まない)は、次のように増えてきました。
| 年 | 受け取った配当 |
|---|---|
| 2022年 | 6万9,683円 |
| 2023年 | 18万3,137円 |
| 2024年 | 30万1,128円 |
| 2025年 | 45万1,128円 |
| 2026年 | 約57万円(見込み) |
2022年の約7万円が、2025年には約45万円。3年で約6.5倍になりました。受け取った配当は、ほぼ全額を再投資しています。配当で買い足した株が、次の年にまた配当を生む。GPIFの「利子・配当の積み重ね」を、私も小さな規模でなぞっている形です。
駐車場以外の金融資産(積み立てたお金を含む)は、次のように増えてきました。
| 時点 | 駐車場以外の金融資産 |
|---|---|
| 2023年12月末 | 2,235万1,622円 |
| 2024年12月末 | 2,825万9,768円 |
| 2025年12月末 | 3,341万9,989円 |
| 2026年10月 | 約3,900万円 |
この増え方には、毎月の積立(新NISA月10万円・iDeCo月2万円)や配当の再投資など、自分で入れたお金も含まれています。運用の利回りではないので、GPIFの+16.47%と同じものさしでは比べられません。それでも、入れ続けること、受け取った配当を使わずに戻すことが、この数字の土台になっていると感じています。
答え合わせのまとめ
| GPIFの学び | 私 |
|---|---|
| ① 1年の成績で決めない | △ 3回迷った。売らなかったのは仕組みのおかげ |
| ② 分けて持つ | △ 株式約69%・債券0%。支えは現金と駐車場 |
| ③ 決めた割合に戻す | ❌ 9年間リバランスなし。ルールも未定 |
| ④ コストを低く | ⭕ 主力のファンドは年0.06〜0.08% |
| ⑤ 金利で債券も動く | ー 債券は持っていない |
| ⑥ 配当の積み重ねと実質 | ⭕ 配当は2022年の約7万円→2026年は約57万円の見込み。ほぼ全額を再投資 |
GPIFの25年が教えてくれるのは、特別な技ではありませんでした。分けて持つ。決めた割合に戻す。安く持つ。受け取ったものを積み重ねる。そして、悪い年があっても続ける。どれも、個人でも今日からできることです。
私に足りないのは、③の「戻すルール」です。何%から何%の間に収めるか。次に資産を見直すときまでに、自分の言葉で決めたいと思います。
今日の一歩として、ご自分の資産を「株式・債券・現金・そのほか」の4つに分けて、割合を書き出してみてください。GPIFの「25%ずつ」と比べるだけでも、自分の配分の形が見えてきます。
出典
- 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)「2025年度 業務概況書」2026年7月公表
- GPIF「2025年度の運用状況」公表データ(収益率・収益額・運用資産額・資産構成割合・管理運用委託手数料)
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」投資信託説明書(2025年1月)/「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」交付目論見書(2024年7月)
※本記事の情報は2026年10月時点のものです。
※本記事は筆者個人の体験と見解に基づくものです。特定の金融商品や資産配分を勧めるものではありません。 投資にはリスクがあり、元本割れの可能性があります。投資の判断は、ご自身の状況に合わせてご自身で行ってください。