「オルカンに投資するなら、6割下がっても生活に支障が出ない資金設計を」
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を作った代田秀雄さんの本『オルカン思考』に、こんな趣旨のことが書いてありました。リーマン・ショックのとき、世界の株式は高値から6割ほど下がり、元に戻るまで6年ほどかかった。その覚悟を持って投資しているか、と。
読みながら、私は自分に聞いてみました。
6割下がったら、私の資産はいくらになるのか。
割合ではなんとなく分かっているつもりでした。でも、金額で計算したことは一度もありませんでした。
この記事では、リーマン・ショックの実際のデータを円で取り直し、それを私の資産に当てはめてみます。
リーマン・ショックで、世界株はどれだけ下がったか
使ったのは、オルカンが連動を目指している指数「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」です。MSCI社が公表している月末の値で、ドル建てと円建ての両方を見ました。
| ドルで見ると | 円で見ると | |
|---|---|---|
| 高値 | 2007年10月末 | 2007年6月末 |
| 底 | 2009年2月末 | 2009年2月末 |
| 高値からの下落 | 約−56% | 約−63% |
| 高値に戻った月 | 2014年6月末 | 2014年11月末 |
| 高値から戻るまで | 約6年8か月 | 約7年5か月 |
※配当を含まない指数(プライス指数)の月末値です。配当を受け取って再投資していれば、戻るのはもう少し早くなります。
本の「6割・6年」は、ドルで見たときの数字とおおむね合っています。
でも、私たち日本人が実際に見る円建ての数字は、もっと深く、もっと長かった。
理由は、株が下がったのと同じ時期に、円高が進んだからです。ドルで見て下がったうえに、そのドルを円に直すと、さらに目減りしました。
為替を「上下」と「範囲」に分けて見た記事で、私の資産の約45%が外貨建てだと書きました。暴落と円高が重なると、その45%が二重に削られます。
私の資産に当てはめてみる
2026年9月時点の、私の資産の内訳です。
| 資産 | 金額 |
|---|---|
| インデックス投信 | 約1,000万円 |
| 日本株(連続増配株) | 約1,200万円 |
| 海外ETF(高配当ETF・国別ETF) | 約1,200万円 |
| 駐車場 | 約1,000万円 |
| 現金 | 約500万円 |
| 合計 | 約4,900万円 |
株式(インデックス・日本株・海外ETF)は合わせて約3,400万円。資産の約69%です。
ここに、円建てのリーマン・ショックと同じ「−63%」を当てはめます。
計算を簡単にするため、株式は3つとも同じだけ下がる、駐車場と現金は動かないと仮定しました。実際には、日本株と海外の株では下がり方が違いますし、不動産の価値が下がることもあります。
| 資産 | いま | −63%の暴落後 |
|---|---|---|
| 株式 | 約3,400万円 | 約1,260万円 |
| 駐車場 | 約1,000万円 | 約1,000万円(仮定) |
| 現金 | 約500万円 | 約500万円 |
| 合計 | 約4,900万円 | 約2,760万円 |
株式だけで、約2,140万円が消えます。 資産全体では、約4割の減少です。
9年かけて積み上げてきた分の、かなりの部分が、計算上は1年8か月ほどで消えることになります。
戻るまで7年。私は59歳になる
もうひとつ、計算して気づいたことがあります。
円建てで高値に戻るまで、約7年5か月。いま52歳の私なら、戻ったときには59歳です。
定年が見えてくる年齢まで、資産が目減りしたままの状態が続くかもしれない。数字にしてみて、はじめて実感がわきました。
もちろん、次の暴落が同じ下がり方、同じ戻り方をするとは限りません。もっと早く戻るかもしれないし、もっと深く、長くなるかもしれません。ここで書いているのは予想ではなく、過去に実際にあった一例を、自分の資産に当てはめた計算です。
7年間、株を売らずに暮らせるか
本が問いかけていたのは、下がる金額そのものより、その間、売らずにいられるかでした。
暴落そのものより怖いのは、生活のために、一番安いところで株を売らざるを得なくなることです。
そこで、私の家計の数字で確かめてみました。(家計を全部公開した記事の数字です)
| 項目 | 月の金額 |
|---|---|
| 世帯の手取り収入 | 約48万円 |
| 生活費(固定費22.4万円+変動費11万円) | 約33.4万円 |
| 積立投資(新NISA・iDeCoなど) | 約14万円 |
給料があるうちは、株を売る必要がない
いまの私は会社員で、生活費は毎月の給料でまかなえています。暴落が来ても、給料が続いている限り、株を売る理由はありません。
給料が止まっても、現金で約15か月
もし病気や失業で給料が止まったら、どうなるか。
現金の500万円を、生活費の約33.4万円で割ると、約15か月です。
つまり、給料が止まっても、1年あまりは株に手をつけずに暮らせる計算です。ただし、7年5か月には足りません。給料が止まり、しかも暴落が長引く、という2つが重なったときが、私の資産のいちばん弱いところだと分かりました。
配当と駐車場の収入は、あてにしすぎない
私には、配当と駐車場の収入が年80万円ほどあります。いまは全額を再投資していますが、いざというときは生活費の足しにもなります。
ただ、景気が大きく悪くなれば、配当を減らす企業も出てきます。この80万円は「いざというときの支え」くらいに考えて、あてにしすぎないことにしています。
過去の下落で、私は売らなかった。でも6割はまだ知らない
インデックス投資を8年続けた記事に書いたとおり、私は2020年のコロナショックや2022年の下落のとき、迷いながらも売りませんでした。
でも、6割の下落は、まだ経験していません。
2,000万円以上が消えた口座の画面を見ながら、それが何年も戻らない。そのとき本当に平気でいられるかは、正直なところ、分かりません。
だからこそ、気持ちの強さに頼るのではなく、売らなくても暮らせる状態を先に作っておくことが大事なのだと思います。給料があること、現金が約15か月分あること。私の場合は、この2つがその土台でした。
計算してみて分かったこと
- 円で見ると、暴落はより深く、長かった。 リーマン・ショックでは、世界株が円建てで約63%下がり、戻るまで約7年5か月かかった
- 私の場合、株式だけで約2,140万円が消える計算になる。 資産全体では約4割の減少
- 給料がある限り、売る理由はない。 現金500万円は、給料が止まったときの約15か月分
- いちばん弱いのは、給料が止まることと、暴落が長引くことが重なったとき
本に書かれていた「6割下がっても生活に支障が出ない資金設計」を、私はようやく自分の数字で確かめられました。
いまの資産配分を変えるかどうかは、まだ決めていません。ただ、暴落が来たときに自分がどういう状態になるのかを、金額で知っている。それだけでも、ニュースの見え方が変わると感じています。
現金をどのくらい持っておくかは、50代の現金保有率の目安の記事でも詳しく書いています。
出典
- MSCI「MSCI ACWI Index」月末値(米ドル建て・円建て、プライス指数)、MSCI社公表データより筆者が計算(2026年10月10日取得)
- 代田秀雄『オルカン思考 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』Gakken、2026年
- 筆者の資産・家計の数字は2026年9月時点のもの
※本記事のデータは2026年10月10日時点で確認したものです。
※本記事は筆者個人の見解と計算に基づくものです。特定の商品・投資行動を推奨するものではありません。 将来の相場の下落率や回復期間を予測するものではなく、記載した数値は過去のデータに基づく事実および概算です。 投資は元本を割り込む可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。